ノアのブログ

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田んぼで繁殖するトンボたち(1)

田んぼは昔からトンボの繁殖場所として重要でしたが、乾田化された現代の田んぼで繁殖できるトンボはわずかです。トンボの幼虫は水中で暮らしますが、乾田化された現在の田んぼに水が溜まっているのは、春の田植え直前から稲刈り前の3ヶ月前後に過ぎません。従って、この間に幼虫の生育を完了できる種類しか田んぼで繁殖できないのです。その中には3つのタイプがあります。

  1. 田んぼ以外の場所で越冬し、春に水が溜まった田んぼに産卵、卵から孵化した幼虫が初夏~盛夏に羽化するタイプ。このタイプのトンボは、オツネントンボ、ホソミイトトンボ、ウスバキトンボなどです。
  2. 他の水域で幼虫で冬を越し、春に羽化した成虫が田んぼに産卵。卵から孵化した幼虫が、初夏~盛夏に羽化するタイプ。このタイプはアジアイトトンボシオカラトンボショウジョウトンボ、ギンヤンマなどです。
  3. 秋に田んぼに産卵して卵で越冬し、田んぼに水が入ると卵が孵化して幼虫が初夏に羽化するタイプ。アキアカネ、ナツアカネ、カトリヤンマなどです。

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これらどのタイプのトンボも田んぼ以外でも繁殖しますが、3. のタイプの種類の中には、田んぼ以外の繁殖場所がほとんどないものがあり、激減の一途をたどっています。このタイプのトンボは田んぼへの適応に成功したがゆえに、繁栄してきたのですが、田んぼに依存しすぎてしまったのが裏目に出て激減を余儀なくされているのです。田んぼに住むトンボの激減の主な原因は昔から農薬だと言われているのですが、私は複合的な要因で、主因には地域差があると考えています。

これまでは、絶滅危惧種として希少なトンボの保護にだけ目が向いていました。しかし、これからは、どこにでもいる普通種として見過ごされてきた、田んぼに依存するトンボについての保護にも関心を持つ必要があると思います。とくに田んぼに憇う赤トンボの姿は日本の原景として、大切にしたいものです。

次号では田んぼで繁殖するトンボの個々の種の保護について、詳しく考えることにします。